TDRSHIBUYA’s blog

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技術解説 特許から見える魔法の裏側 ~Pirates of the Caribbean: Battle for the Sunken Treasure~

新型コロナウイルスによる暗雲がどこまで広がっているかわかりませんが、早く明けてほしいと思ってとても思っています。

この影響によりTDRは2011年の東日本大震災による臨時休園より長期期間の休園をしています。早くパーク内でたくさんのハピネスを見たいです。そして、Newファンタジーランドを含む拡張エリアのオープンが待ち遠しいです。

 

なので、今回は上海ディズニーランドにあるカリブの海賊Pirates of the Caribbean: Battle for the Sunken Treasure”にて初めて使用されたボートライド技術についての記事になります。https://www.shanghaidisneyresort.com/en/attractions/pirates-of-caribbean/

このアトラクションに乗ったことがある人ならわかると思いますが、このボートはTDRカリブの海賊イッツ・ア・スモールワールドやシンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジとは全く異なります。

このボート型ライドシステムについて、ウォルトディズニーイマジニアリングによって開発され、ディズニーエンタプライズによってアメリカで特許として登録されております。特許として登録されていますので、内容を確認することができます。

patents.google.com

この特許技術を簡単に図を中心に解説していきたいと思います。気になる方は、リンク先のページから内容を確認して見てください!

まずは、ボートの全体図についてです。

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全体図

通常のボートとの大きな違いは、図中の130・136のボギーと呼ばれる機器がボートの前後で図中132・138のテザーで接続されていることです。

このボギーが図中122のリニアモータによって推進力を得ることで図中110のトラックに沿って進むことでテザーを通じてボートが動きます。

続いては、トラックについてです。

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トラック

図2がトラックを上から見た図、図3が横から見た図になっています。フロント・リアのボギーでトラックが独立しています。進行方向左側がフロント用・右側がリア用になっていることがこの図からわかります。

これによって、前後のボギーを独立して制御することができ、このあと出てくるボートの挙動が可能になっています。

続いては、ボート旋回です。

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旋回ターン

図に表すようにフロントとリアのトラックを離すことでボートを横方向に動かすことができます。また、円形にトラックを設置することで、図中410のショーの方向を向いた状態で次のシーンへボートを移動させることができます。これには、横方向を見せたくないショーシーンや前のボートを見せたくないシーンなどに使用している様です。

次は、トラック・レールとボギーについてです。

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トラックとボギー

図中の上側のボギーがフロントボギー、下側がリアボギーです。この図では単一トラック上を移動している状態です。各ボギーは図中537・547のホイールを使って、図中514・517のレールにガイドされて動きます。

次はフロントボギーについてです。

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フロントボギー

この図では、フロントボギーを前から見た図となっている。この図で重要なのは、図中537のホイールの位置です。図中536のボギーのアームから見て上側にホイールが付いています。図中680・682・684のレールによってフロントボギーのみをガイドすることができる。

続いてリアボギーについてです。

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リアボギー

リアボギーを前から見た図です。リアボギーではアームの下側にホイール付いています。これにより図中780のレールによってリアボギーのみをガイドすることができます。

このフロントとリアのガイドレールの違いでフロントボギー・リアボギーを分けることができます。

これによってFIG.2・3・4の様にレールを分け、次のような挙動をボートがすることを可能にしています。

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横方向ターン

前を向いて進行していき、図中1114の分岐ポイントでフロントとリアに分かれます。

その後、フロント・リアが別のレールを通ることでボートは横方向にスライドするようにターンします。そして、図中1120の結合ポイントでフロントボギーが先に合流することで結合ポイント通過後もボートは前に進みます。

では、次は結合ポイントでリアボギーが先に合流した場合です。

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バックターン

図にある様に、リアボギーが先行する為、結合ポイント通過後ボートはバックして行きます。そして、またレールが分かれるゾーンに入ることで、ボートを回転させることができます。

 

以上のように、リニアモーターによって前後のボギーの速度をコントロールすることで今までにないボート型ライドシステムが出来上がっています。

また、これに合わせてショーを組み合わせて行きます。

アトラクションの設計については、2017年のTEAサミットでイマジニアによる解説がされていますので、リンクを付けておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=P8717fVMfCU

動画より特に気になった部分を貼って終わりです!!

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全体レイアウト

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ボート動作シミュレーション

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レイアウトコンセプト

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ミニチュアによるシミュレーション